
自動車や産業機械向けのベアリング(軸受)で知られるNTN株式会社。長年培ってきた精密加工・精密位置決めなどの技術を、ライフサイエンスやロボティクスといった新たな領域へ展開しています。O-Nexusで生まれた出会いや、中之島という場所への期待、そして新規事業への思いについて、未来創造開発本部長の内山元広さんに伺いました。
ーー今回、O-Nexusにはどのような目的で入居されているのでしょうか。
内山元広さん(以下、敬称略):私たちの社名から、ベアリングの会社をイメージされるかもしれませんが、これまで培ってきた精密加工・精密位置決めなどの技術を応用した新製品を、ライフサイエンス分野へ展開するために入居しています。
一つが、精密リキッドハンドリングシステム「X-CELList(エクセリスト)」です。微量の液剤を高い精度と再現性で配置できる技術で、細胞や試薬など、ライフサイエンス分野への応用を進めています。
もう一つが、手首関節モジュール「i-WRIST(アイリスト)」です。自由で滑らかな動きを実現する技術で、ロボティクスなど、さまざまな分野への応用可能性を検討しています。どちらも、もともとは異なる工業用途から生まれた技術ですが、ライフサイエンスやロボティクスのような新領域への応用を考えています。
ーーO-Nexusへの入居は、どのような経緯で決められたのでしょうか。
内山:弊社は2023年に大阪・中之島に本社を移転し、そのご縁で、「Nakanoshima Qrossにイノベーションの拠点ができる」と聞いたことがきっかけです。CIC Japanの各拠点での取り組みを聞けば聞くほど、恵まれた環境を整えていただけることに感心しました。
私たちは製造業でこそ知名度が高いですが、医療・ライフサイエンスという新しい業界に独自でアプローチしたり、ネットワークを構築するには時間がかかります。だからこそ、O-Nexusを活用して、早く技術を知っていただき、新しい接点をつくろうと考えました。
ーー入居後、どのような変化や出会いがありましたか。
内山:O-Nexusの開設に伴って、弊社の取り組みも積極的にPRしていただいたことで、多くの企業・団体の方々とつながることができました。
これまで直接アプローチすることが難しかった分野の企業をご紹介いただけるのは、とてもありがたいです。特に、微量の液剤を高い精度と再現性で配置できる技術を評価していただく機会が多く、新しい可能性を感じています。
ーー印象的だったエピソードはありますか。
内山:日本生命の方に、私たちの技術を紹介した際、ヘルスケア分野への応用のアイデアをいただいたことです。こうした異業種同士の会話は、通常の商談の場では生まれにくいものだと思います。
イベントも多く、若いエンジニアがさまざまな企業や研究者の方と接する機会も増えています。そうした経験も大きな刺激になっています。
ーー中之島という場所の可能性を、どのように感じていますか。
内山:正直なところ、2023年に本社を移転して間もないこともあり、中之島がここまで大きな可能性を持つエリアだとは認識していませんでした。
しかし実際に活動に参加してみると、中之島を起点として医療・ライフサイエンス分野を盛り上げていく動きが非常に活発です。医療機関や企業、大学など、さまざまなプレイヤーが集まる環境の中で、技術を持つ企業と異なる分野の方々がつながることで、新しい事業が生まれる可能性を強く感じています。
ーー最後に、今後のビジョンを教えてください。
内山:私たちは、自動車・産業機械分野を中心とした製造業ですが、これからは新しいビジネス、新しい事業領域を生み出していきたいという強い思いを持っています。その一つがライフサイエンスであり、もう一つがロボティクスです。
O-Nexusでさまざまな方々と出会い、異なる分野の知見と技術を掛け合わせることで、新しい価値を生み出し、新しいビジネス、新しい事業へとつなげていきたいと考えています。
プロフィール
内山 元広(うちやま もとひろ)氏
NTN株式会社・未来創造開発本部長
会社情報
NTN株式会社
ベアリング(軸受)や精密機械部品の製造・販売を手掛ける大手精密機器メーカー。自動車、産業機械、風力発電など幅広い分野で駆動を支える高品質なベアリングを提供しており、最先端の摩擦制御・精密加工技術を活用して、地球環境負荷の低減や産業発展に貢献している。
公式サイト:https://www.ntn.co.jp/japan/index.html