
日本生命グループの中核であるベンチャーキャピタル、ニッセイ・キャピタル株式会社もまた、O-Nexusの入居者の一人です。関西オフィスの工藤弘樹さんに、VCとしてこのコミュニティにどう関わっているか、そしてライフサイエンス領域への投資の可能性についてお伺いしました。
ーーO-Nexus内で、どのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか。
工藤弘樹さん(以下、敬称略):O-Nexusがヘルスケアやライフサイエンス、もう少し広くウェルビーイングに資するスタートアップの方々を支援する施設だと理解しています。私たちはベンチャーキャピタルなので、主には資金提供という立場で、皆さんの事業拡大のお手伝いができればと考えています。
ーーご入居から取材時点で2ヶ月ほどとのことですが、率直な印象はいかがですか。
工藤:正直に申し上げると、まだまだこれからだと思っています。コワーキングスペースを含めてまだ多くの方が利用されている状況ではありません。ただ、これだけ綺麗で素晴らしい施設があるので、これから盛り上げていけたらと思っています。福岡のCICには何度かお邪魔したことがあり、多くの人が集まり活発なコミュニケーションが生まれているのを見てきました。同じような環境がO-Nexusにも育てば、この場所の価値も大きく変わってくると思います。
ーーVCとして、O-Nexusをどのように活用していきたいとお考えですか。
工藤:一番期待しているのは、O-Nexusを通じて投資検討をさせていただけるスタートアップの方々と出会うことです。加えて、事業会社の方々も多く入居されているので、投資先とシナジーが生まれるような出会いにも期待しています。CICは、普段は会わない業種の方々とのコミュニケーションが生まれるよう、館内の動線などを工夫していると聞いていて、そうした予期せぬ出会いの場としての価値を一番感じています。梅田のJAM BASEも、この1年ほどで人が増え、偶然の知り合いから相談ごとが生まれる場面が増えました。O-Nexusにも、狙って会いに行く関係に加えて、そうしたプラスアルファの出会いが生まれてほしいです。
ーーライフサイエンス領域は、投資対象としてどのような可能性を感じていますか。
工藤:ライフサイエンスはとても技術が求められる領域で、上市まで時間がかかり、成功確率も高くはありません。それでも、いわゆるアンメットメディカルニーズと言われる、薬が足りていない疾患領域はまだ数多く残されています。グローバルに展開しうるマーケットなので、成功したときのインパクトはとても大きく、弊社としても一定割合投資している注目領域です。社会貢献性の高さが投資判断の加点要素になるわけではなく、マーケットが大きいぶん、きちんと上市さえできれば普通にキャピタルゲインが取れる領域だと考えています。市場規模で見ても、がんや心臓病、脳卒中、認知症など患者数が非常に多い疾患ばかりで、上市まで持っていければ数百億、数千億円規模の価値が見えてきます。高齢化や創薬技術の進歩、薬価の動向など、さまざまな要因でマーケットは今後も伸びていくと見ています。
ーー市場としての伸びしろについても教えてください。
工藤:そもそもの市場規模がとても大きい領域です。がんや心臓病、脳卒中、近年ではアルツハイマーのような認知症など、いずれも国内外で患者数が非常に多い疾患ばかりです。薬価次第という面はありますが、きちんと上市まで持っていければ、数億円ではなく数百億、数千億円規模の価値が見えてくる領域だと考えています。高齢化に加えて創薬技術そのものも進歩していて、新しい薬の薬価が当初高く設定されるケースも増えているので、さまざまな要因でマーケットはこれからも伸びていくと見ています。
ーーO-Nexusを通じて実現したいビジョンを教えてください。
工藤:まず一つは、O-Nexusを通じて出会ったスタートアップの方に、実際に投資まで至ることです。ただ、私たちにとって投資はゴールではなく、投資した資金を使って事業を成長させ、薬であれば上市まで持っていっていただくことが本来の目的です。その成長の過程で、同じようにO-Nexusを通じて支援いただけるパートナーとの出会いが生まれ、「O-Nexusがこの会社の成長を支援できた」と言えるようなケースが、これから何年かかけて生まれてくると良いと思っています。大阪をライフサイエンス・ヘルスケアの一大拠点にするというO-Nexusのコンセプトに強く共感していて、関西の大学から生まれたシーズから、グローバルに届けられる創薬や医療機器を開発しようとしている先生方やスタートアップに、積極的に投資していきたいと考えています。
ーー最後に、投資先との出会いはどのように生まれることが多いのでしょうか。
工藤:個別に企業を調べてアプローチすることもあれば、先方からご紹介いただくこともあり、体感としては半々くらいです。ただ多いのは、イベントや交流会、研究成果の発表会など、狙いを持って参加した場で、最後は偶然の出会いが生まれるパターンです。O-Nexusがライフサイエンスという一つのコアテーマを掲げていることは、投資家としてもスタートアップとしても狙いを持って参加できるという意味で、大きな価値があると思っています。
プロフィール
工藤 弘樹(くどう ひろき)氏
ニッセイ・キャピタル株式会社・関西オフィス
会社情報
ニッセイ・キャピタル株式会社
日本生命グループに属するベンチャーキャピタル。シードからミドル・レイターステージまで幅広い成長段階のスタートアップへ投資・ハンズオン支援を展開する。豊富な資金力と日本生命グループのネットワークを活用し、新産業の創出や投資先企業の持続的な成長を強力に後押ししている。
公式サイト:https://www.nissay-cap.co.jp/